絵本のイラストにおいては、ストーリーがどういったものであれ、かわいらしい印象のイラストをつけることで、幅広い読者層に手に取ってもらいやすい傾向があるかと思います。
ちなみに、拙著「メルルとようかいのおしゃれやさん 」を読んでくれた方からは、
「妖怪だけど絵がかわいいからこわくない。」
と、これまで「妖怪=こわい」と思っていて妖怪の絵本を手に取ったことのないような方にも好まれている印象があります。
この記事では、かわいい絵本イラストを描くポイントや、そのアイディアを紹介していこうと思います!
もくじ
ストーリーの魅力を引き出すかわいいキャラクターを描くポイント
絵本のイラストは、ストーリーの魅力を表現するものでなければなりません。
ここでは、キャラクターをどのようにデザインしたら、かわいいと思ってもらえるか?というポイントを紹介します。
キャラクターの感情表現を通じてストーリーへ共感してもらう
キャラクターの感情表現は、読者がストーリーへの共感を深める重要な手段です。
かわいいキャラクターの目の表情、口元の微妙な変化、姿勢の描写など、細部にこだわって描くことで、キャラクターの感情が読者に伝わります。
例えば、主人公の喜びや悲しみ、驚きなどをかわいい表情やポーズで描くことで、読者はその感情を共有し、物語により一層引き込まれることでしょう。
キャラクターが持つアイテムや環境などの世界観を表現
キャラクターが暮らす世界や環境は、絵本の世界観を形作る重要な要素です。
かわいいキャラクターが持つアイテム、住む場所、周囲の風景などを描写することで、読者は物語の舞台やキャラクターの生活を想像しやすくなります。
例えば、キャラクターの部屋の中の小道具や、外の風景の描写を通じて、物語の背景や環境を詳細に表現してみましょう。
キャラクターの成長や変化を描こう
絵本の魅力の一つは、キャラクターの成長や変化が描かれることです。
キャラクターが物語の進行とともに変わっていく過程を、イラストを通じて表現することで、読者はキャラクターの成長に共感し、感情移入することができます。
キャラクターのかわいい外見だけでなく、姿勢や表情の微妙な変化を通じて、キャラクターが経験する成長や変化を描き出すことが大切ということですね!
かわいさを演出するイラストのテクニック
それでは、「かわいいイラストとは、一体どういう要素を持っているのか?」ということについて解説していきたいと思います。
多くのかわいい人気キャラクターはこれらの要素を踏襲してデザインされています。
ぜひ、あなたのイラストにも取り入れてみてください!
プロポーションとフォルムにこだわってみよう
かわいいイラストを描くためには、キャラクターのプロポーション(体の比率)とフォルム(形状)に注意を払うことが重要です。
特に大きな目や頭(または頭の大きさとは反して小さな目)、小さな体などの特徴的なプロポーションがかわいさを引き立てるポイントです。
また、キャラクターのフォルムを丸みを帯びた柔らかいラインで描くことで、親しみやすさと愛らしさを強調することができます。
色彩の選び方と組み合わせを工夫しよう
かわいらしいイラストの色彩は、読者の心に楽しさや温かさを与えます。
明るくて鮮やかな色、柔らかいパステルカラーなどが一般的に使われます。色の組み合わせにも工夫が必要で、明暗や補色などの対比を利用してキャラクターや背景を引き立てる効果を狙うことが大切です。
色が持つ感情やイメージも考慮しつつ、絵本の雰囲気に合ったカラーパレットを選びましょう!
キャラクターのポーズと動きをリズミカルに描こう
キャラクターのポーズや動きは、イラストに生命を吹き込む大事な要素です。リズミカルな動きを取り入れることで、キャラクターが動いているような印象を与え、絵本の中の世界がより活気づいたものになります。
自然なポーズや動きを表現するために、参考写真やモデルを使って練習することもおすすめです。また、キャラクターの表情や状況に合わせてポーズを工夫することで、かわいらしさをより際立たせることができます。
子ども心をくすぐるイラストの描き方
ここでは、絵本のメイン読者層である子どもたちに好かれるイラストとは、どういったデザインか?ということについて考えてみたいと思います。
ファンタジー要素を取り入れよう
子どもたちは想像力が豊かで、ファンタジーの世界に引き込まれることが多いです。
イラストにファンタジー要素を取り入れることで、子どもたちの心をくすぐることができます。
魔法の生物、不思議な場所、飛び跳ねるような物体など、現実ではありえない要素を取り入れて物語を豊かにすることで、子どもたちの興味と好奇心を刺激することができます。
また、「ひとりで(または子どもだけで)行ってはいけない」と言われているような場所への冒険は、子どもたちの好奇心をくすぐることでしょう!
季節や天候を設定し、表情豊かな背景を描こう
季節や天候を背景に反映させることで、物語の雰囲気をよりリアルに感じさせることができます。
雪の降る中で遊ぶキャラクターや、春の花畑で踊る場面など、背景に季節や天候の要素を組み込むことで、子どもたちは物語の世界に没入しやすくなります。
私自身、3人の子どもたちを育てていますが、絵本に梅雨の雨やカエルやカタツムリ、真夏のカブトムシやセミの虫捕り、冬の雪だるまや雪合戦などのシーンが登場すると、大喜びで食いついてきます(笑)
親としても、自然や季節の移り変わりを絵本で学ばせることができるので、積極的に読んであげたくなりますね!
絵本の背景の細部にもこだわり、風景や建物などの描写が丁寧にされていると、物語の空気感を一層感じさせることができ、その世界観に読者を引き込むことができます。
文章で表現しきれない部分をイラストに反映させることで、読み聞かせの際にも「これはなにかな?」「どんなにおいがしそう?」などと、子どもとのコミュニケーションを深めることができるため、保護者にも好まれるのではないかと思います。
読者である子どもの共感を得るにはどんなイラストが好まれる?
子どもたちに共感を得るためには、彼らの興味や感情に寄り添ったイラストが重要です。
乳児なら簡単なストーリーでお母さんとの触れ合いやオノマトペのお話にし、単純な図形や動物などをイラストに用います。
幼児であればお友達との関係を描いたりなど起承転結のあるストーリーで、例えば、友情や冒険、夢のある場面など、子どもたちが共感するであろうテーマを成長に合わせて取り入れることがポイントです。イラストも、乳児よりは少し複雑にしても良いでしょう。
また、子どもたちの日常生活や遊びを描いたシーンも魅力的です。
お母さんとのお買い物、積み木やボール遊び、電車のおもちゃ、人形遊びなどです。
笑顔や驚き、楽しさを表現することで、子どもたちがイラストに感情移入し、物語の中に入り込むことができます。
食べ物のイラストも、子どもたちが大好きなテーマの一つです。
パン、ケーキ、果物、ハンバーグ、チョコレート……大好きな食べ物が出てくるとそれだけで子どもたちは嬉しくなってしまうようです(笑)
アイディア①:かわいい動物キャラクターの描き方テクニック
ここからは、子どもたちに人気のかわいい動物キャラクターのデザインの描き方のテクニックについて説明していきたいと思います。
人間を描くのが苦手な人でも、動物なら楽しく描けるという方も多いのではないでしょうか?
さらに動物キャラクターをかわいく描くポイントを紹介していきたいと思います。
動物の特徴を強調したキャラクターデザインのポイント
動物キャラクターをかわいく描くためには、その動物の特徴をしっかりと捉えてデザインすることが大切です。
例えば、ウサギの耳やしっぽ、パンダの目の周りの黒い模様など、動物の識別できる特徴を強調してキャラクターに反映させることで、視覚的に親しみやすいイラストになります。
よく、パンダの目の周りの黒い模様を★の形にしているイラストを見かけます。ああいった動物の特徴を図形へ置き換えると楽しさが増しますね!
動物の特徴を踏まえつつ、独自のデザインを加えることで、個性的なキャラクターが生まれるでしょう。
動物の動きと行動をとらえ、生き生きと表現するには?
動物の生き生きとした動きや行動をイラストで表現することは、キャラクターにリアルさと魅力を与えます。
例えば、猫が身をよじるしぐさや、鳥が飛び立つ瞬間など、動物の特有の動きを観察して描写することで、イラストがより生き生きとした印象を与えます。
写真や動画を参考にすることで、動物の動きを正確に捉えることができます。
よく観察して、「この表情がかわいい!」「この仕草がかわいい!」と感じたところを、イラストに反映してみましょう!
人間を動物に置き換えて表現してみる(擬人化)
動物を擬人化して描くことで、キャラクターにユニークな個性と人間味を与えることができます。
人間の特徴を動物に取り入れることで、読者はそのキャラクターに共感しやすくなります。
また、表情やポーズ、服装や小道具を通じて、キャラクターの性格やストーリーを視覚的に伝えることができます。
動物を人間のように描く擬人化は、子どもたちに親しみやすいキャラクターを生み出すのによく使われますね。
これらのテクニックを活用して、動物キャラクターをかわいく魅力的に描くことで、絵本の中に豊かな世界を作り出すことができます。
動物の特徴を尊重しつつ、個性を加えたり擬人化したりすることで、読者はキャラクターに共感したり、感情移入を深めたりすることができます!
アイディア②:かわいい擬人化キャラクターをデザインする
ここでは、「擬人化キャラクター」のデザインアイディアについて解説していきます。
人間を描くのが苦手であったり、あまり性別や人間の生々しさを入れたくない場合に使えるテクニックかと思います。
また、オリジナルのキャラクターを生み出したい場合にも有効ですね!
それでは、擬人化キャラクターをデザインする際に考えておくと良いことも交えて、解説していきたいと思います。
日常アイテムの特徴をキャラクターデザインに取り入れるテクニック
かわいい擬人化キャラクターをデザインする際、日常にあるアイテム(日用品、野菜、文房具etc)の特徴を取り入れることで、キャラクターにユニークな要素を与えることができます。
例えば、時計の針をヒゲのように描いたり、分かれ目のある大根を脚に見立てるなど、その物の特徴をデザインに取り入れることで、キャラクターに特有の個性を持たせることができます。
これによって、キャラクターにユーモアとオリジナリティが生まれます。
擬人化したキャラクターの個性を引き立たせるファッションと小道具のアイディア
キャラクターの個性を引き立たせるためには、ファッションや小道具のアイディアを工夫することが重要です。
キャラクターの性格や趣味に合った服装やアクセサリーをデザインすることで、そのキャラクターの個性が鮮明になります。
また、キャラクターが持つ小道具やアイテムも、そのキャラクターの特徴や背景を表現する手段として活用できます。
例えば、本を持つキャラクターには学者っぽい眼鏡を加えたり、料理好きなキャラクターにはエプロンや調理器具を持たせたりすることで、キャラクターの性格や趣味嗜好を描くことができます。
擬人化キャラクターの背後にあるストーリーを反映させよう
擬人化キャラクターのデザインには、その背後にあるストーリーやコンセプトを反映させることが大切です。
キャラクターの特技や趣味、出身地などをデザインに取り入れることで、キャラクターが持つ個性や背景が視覚的に伝わります。
また、キャラクターの持つ感情(怒りっぽい、明るい、勇敢…etc)や成長(例:自信のなかった主人公がひとり立ちする等)もデザインに表現することで、読者はキャラクターに感情移入し、その成長や変化に共感することができます。
キャラクターの個性や背後にあるストーリーを描写し、ファッションや小道具を工夫することで、読者はキャラクターの持つ世界観に惹き込まれることでしょう。
まとめ
今回は、かわいい絵本イラストを描くためのアイディアとテクニックをいくつか紹介しました。
絵本のイラストは、子どもたちの心を惹きつける重要な要素です。
かわいらしさや魅力的なキャラクターは、読者に楽しさや共感を与え、物語にさらに没入できるようにします。
この記事で紹介したアイディアとテクニックを活用し、かわいい絵本イラストを描いて、子どもたちの心を魅了していきましょう!